この秋も、藁(わら)で囲炉裏の灰づくりをしました。
我が家は、カニを炭火で焼くため囲炉裏(いろり)を切っていますが、ここへ入れる灰をつくるのが大変。
最近は稲もほとんど100%がコンバインで収穫されるため、稲藁は細かく切られて肥料代わりに田んぼに捲かれてしまいます。
ですから、親しい農家に頼み込んで稲藁をわざわざ残してもらうのです。
その藁を家族総出でも田んぼからもらってきて、天気の良い間に、何日かかかって干し、少しずつ燃やして灰にするのです。
汗だくになりながら藁を燃やすのも、結構手間と時間がかかり、嫌になりますが、できあがた黒々とした藁灰をみると、「やっぱり、苦労してつくった灰は違うな」と思います。
囲炉裏に灰が少なくなると、新しい灰を足します。
おかげで、炭の火持ちもいいし、ここで焼くカニの味も格別だと、つくづく感じます。
昔ならどこの家でもかまどがあり、木も毎日のように燃やしてご飯などを炊いていたので、灰はいつでもあったけど、いまの生活様式では灰はもう貴重品です。
囲炉裏の灰に限らず、どんなことでも、手間をかけないと、満足いくことはできないものなのだ、と心に言い聞かせながら、余分な仕事になるのに、わざわざ、毎年稲の藁をとって置いてくださっている農家の方に、あらためて感謝しています。