「近所の畑はみんな終わっていて、うちだけ遅れているのよ。手伝って」
「午後4時ごろからだったら、いいよ」
女房がジャガイモ掘りをするというので、手伝ったのはいいけど、暑くて暑くてすぐに全身汗びっしょり。
降り出しそうなだった雨もパラパラとしただけで、蒸し暑さだけが増す梅雨の午後。
「ま~るい男爵は、ジャガバターにして食べるとうまいな」
「あ、それ、キタアカリという品種名なのよ」
「へえ、いかにも北海道が主産地です、といった名前だなあ。こっちの長細いメークインはでっかいのができてるな」
蔓を取り除いた畑のこんもりとした畝の土をスコップで掘ると、大小、いろんな形をしたジャガイモが顔を出す。
ときたま「しまった、芋を切っちゃった」「また~」などとしゃべりながら。
ジャガイモ掘りをすると、いつも思い出すことがある。
若い頃、ちょっとお姉さん的なアイドルだった吉永小百合が「ジャガイモのような人があこがれの男性のタイプ」なんて言っていて、にきびの中に顔があって外見がジャガイモのように見えないこともなかった僕は、ひそかにちょっとニンマリしていたことだ。
そんなこと、いまでは、どうでもよくなったけど・・・。
すっかりへばってきた時、親戚のおばさん(もう70を超しているけど)と、仕事から帰ってきた長男が畑にやってきて手伝ってくれた。
「ああ、助かった」
たった1時間半ほどだったが、終わって体重を計ったら2キロも減っていた。
ちょっとオーバーかな。でも、それぐらい減ったと感じた。
晩飯でビールを(いつもの2倍ほど)飲んだらすぐ戻ってしまったけど・・・。