「立て看板の文言考えて」
民宿部長のFちゃんが、ファックスしてきた。
夏の海水浴シーズンを前に、観光協会では、わが訓谷浜海水浴場をクリーンアップしようと、ゴミの持ち帰り運動を計画中で、それに、ポケット灰皿を作って、各民宿で配布することも考えているからだ。
それで、このクリーンアップ大作戦をPRする立て看板を作ることになったらしい。
めんどくさいな、なんて正直、ちょっと思いつつ、放っておいて、昼間は、それなりに本業に勤しんだ。
それでも、夜になって、一息ついたので、ちょっと考えてみた。
「あなたの真心で、美しい訓谷浜を守って下さい」
最初、思いついたのはこれ。
東京にいる姪っ子と電話中の女房に見せたら、ちょっと笑ったようだったが、すぐ、また、姪っ子との話に夢中だ。
「やっぱり、ダメか。ちょっと、押しつけがましいものなあ」と僕は、再び自分の部屋に戻って、次ぎを考えた。
しゃれた文句なんて、簡単に思いつくもんじゃないよな、なんて思いながらメモ用紙に書いたのが
「美しい訓谷浜は、みんなの宝物です」
「きれいな佐津海岸 自然を守りましょう」
これぐらいで、どうですか、もっといい文言があればそちらに、でも文字の色はできるだけカラフルに、とFちゃんに返信した。
よる遅くなって、また、ファックスがあった。
それによると、会長たちと相談して、次ぎのようにしたらしい。
ハマナス咲く訓谷浜(は)
みんなの宝物です
ゴミ持ち帰り運動実施中
吸殻はポケット灰皿へ
佐津観光協会
カッコの「は」はあったほうがいいかな、どうかな、なんてまだ悩んでいる僕だけど、
みんなで考えれば、なんとかなるもんだ。