春になると、毎年ツバメが何組かやってきて、我が家のガレージに巣をつくる。
そして、卵を産み、やがてヒナをかえすのだが、いつも無事に巣立ちするとは限らない。
卵のうちに青大将(ヘビ)に食べられたり、丸々と太ってきたら、ほかの鳥やネコがねらう。
先日、せっかくつくった巣が何者かに落とされた。
でも、またすぐにつくり出した。
が、場所が悪い。天井に2つある火災防止のための煙感知器の片方に、せっせと土まみれの草や木屑を運んで付けている。
2,3日の間に感知器は土まみれにされ、えらいことになってきた。
目の前に止まったツバメの夫婦に「そこだけはやめてくれ」と懇願しても、やめようとしない。
釣竿を立てかけて、ささやかな抵抗をしてみせたら、なんということだ、今度はもう一方の煙感知器に巣作りをはじめた。
そんな場所なので、うまくつくれないのか、小さな土の塊をあちこちに落とし、愛車は拭いても拭いても、次の朝には点々と泥が付いている。
おいおい、糞の掃除だけで大変なのに。
見かねた女房に「ほかに巣台をつくってやれば」といわれ、安全と思われる場所に結構立派な巣台を作ってやった。
ところが、ツバメはそこは見向きもしない。
「気に入られなかったようね」と女房はあっさり片付けるが、僕はそう簡単にはあきらめられない。
大きな巣台を無視しつつ、ツバメ夫婦は、また元の巣の修復にかかっている。
今度は落とされないよう、ちょっとした看板にも使えるような焼き杉で、その巣の下にも台を付けてやった。
俺の苦労に感謝しろよ。
無事に育って、巣立ちしろよ。