ジャガイモにキャベツ、ニンジンにタマネギ、ブロッコリー・・・。
いつも何か自家製の野菜が並ぶ、我が家の食卓。数えあげればきりがない。
民宿の女将をしている女房は、お客さんに手作りの野菜を食べてもらい、「本当においしいですね」と喜んでもらうのが何よりうれしいらしい。お客さんに限らず、いっぱいできた野菜を近所に配ったり、東京にいる息子や姪っ子に送ったり、遠く近くの親戚にも。
だから、畑仕事も忙しい。
早朝、あれ、もう起きていないな、と思ったら畑に出ている。
夕方、どこへ行ったのだろう、と探していたら、野菜に水をやっている。
暇そうにしていると僕も、時々手伝わされる。
子どものころもよく手伝わされてイヤだった想い出があるが、40を過ぎるころからしょうがないな、とあきらめるようになり、いまでは農業は健康にいいんだ、と割り切れるようになった。
野菜もそんなに好きではなかったが、だんだん好きになり、いまでは毎日の食卓に、欠かせないほどになった。歳をとって、油濃いものよりあさりしたものを身体がほしがるせいでもあるんだろうけど。
ジャガイモの、あのホクホウした旨さ、ニンジンのなんともいえない自然な甘さ、タマネギのしゃきとした感覚。
畑から取ってきたばかりのブロッコリーの新鮮さときたら・・・。
おいしい野菜生活。いやいや、堪えられません。
ある日、二匹いる愛犬のうち、白黒のシーズーのマユちゃんの口の周りが、赤茶色に汚れているのに僕は気付いた。
「これ、どうした」と聞くと、マユは「何を言ってるの」と言いたげに首を傾げるだけ。
「ああ、そうか」と思い当たった。トマトの食べ汚しだ。
我が家では、愛犬たちも野菜好きのようだ。