先日、訪ねた山奥の集落で、「ここは、老人会の平均年齢の方が地区民全員の平均年齢より若いんですよ。」と聞かされ、一瞬、よく意味がわからなかった。
40戸足らずの家が谷間に点在するこの集落は、かっては鉱山の町としてにぎわった。が、閉山とともに働く場を失った人たちが相次いで村を離れ、いまではお年寄りばかりで、子どもは中学生が一人いるだけだそうだ。
だから、老人会へ入って会の行事に参加している人は村では達者な証拠のようで、歳をとって身体が動かなくなったり、病気がちになると、老人会へもしだいに顔も出さなくなるという。
「老人会の方が若いなんて笑い話のようですが、本当のことなんです」と、その人は笑ってしゃべり、それに合わせるかのように僕もつられて笑ったが、その笑いはすぐ消え、考え込んでしまった。
こんなに新緑が目にまぶしい、本当に美しい村なのに。